額縁のオーダーについて
ORDER
永く作品に寄り添う額縁を、見つけていただけたら。
そう思って、寸法も木の種類も、選べるようにしています。
作品を入れようとして、既製の額縁の前で手が止まることがあります。
サイズが合わない。デザインの主張が強い。
作品のほうが額に合わせにいっているように見える。
額のほうを、作品に合わせる。
ここでは、その頼み方と費用の目安、 それから私たちが寸法をどう決めているかを書いてみます。

三つの頼み方
ひとくちにオーダーといっても幅があります。 久米装枠舎では三つに分けています。
- 1
規格サイズの額
A4・A3・350角の三つのサイズから選びます。素・悠・深の三つのデザインと、ホワイトオーク・ハードメープル・ウォールナットの三つの樹種の組み合わせです。オンラインストアからそのままご注文いただけます。在庫のあるものはご注文から1週間ほど、受注生産のものは1ヶ月ほどでお届けします。在庫の有無はオンラインストアに記していますので、お急ぎのときはそちらをご覧ください。
- 2
サイズ仕立て
デザインと樹種は定番のまま、寸法だけを作品に合わせて1ミリ単位でつくります。作品の寸法が決まっていて、デザインに迷いがなければ、この頼み方が近道になります。納期は、ご入金の確認から1ヶ月ほどです。
- 3
フルオーダー
かたちから考えます。決まった型はありません。彫り込みの深さ、木の種類、余白の取り方。ひとつの正解があるわけではなく、作品との対話のなかでかたちが決まっていきます。お話を伺い、ご提案し、試作をつくることもあります。そのぶん時間がかかり、お問い合わせから納品まで3ヶ月ほどを目安にお考えください。展示に合わせるなど日にちが決まっている場合は、できるかぎり相談に応じますので、お早めにお知らせいただけたらと思います。

費用の目安
額縁のオーダーはいくらくらいなのか。 これはよくいただくご質問だと思います。
久米装枠舎の規格サイズの額は、税込14,300円から。 デザインと樹種、そして大きさによって変わります。 サイズ仕立ては、そこから寸法に応じて変わります。
フルオーダーは、デザインと試作にかかる費用と、額縁の製作費を合わせてのお見積もりになります。 内容によって幅がありますので、まずはご相談いただけたらと思います。
寸法には、理由があります
ここからは、私たちがどう考えているかの話です。
私は建築の設計を生業にしています。 日本の建築には、分・寸・尺・間という寸法の体系があります。 1分はおよそ3.03ミリ、1寸はその十倍で約30.3ミリ、1尺は約303ミリ。 人の身体の大きさから育ってきた尺度です。
額縁の寸法を決めるときも、私の手はなんとなくこの尺度に寄っていきます。 そのほうがリズムが出て、心地よいと感じるからです。もちろん例外もあります。 比率についても、白銀比や黄金比、フィボナッチ数列といった昔からある比のなかで考えることがよくあります。

久米装枠舎の額縁では、3ミリ(約1分)がひとつの単位になっています。
正面から見える幅は、どのデザインも15ミリ。3ミリの五倍にあたります。
「悠」と「深」では、正面から見たときのいちばん手前側を3ミリに。 ここが太いと、額のほうが前に出てきてしまう。 繊細に見えるように、この寸法にしました。
木部とアクリルがかかる部分も、3ミリです。 額縁は構造上、作品のふちをわずかに覆います。 この覆う幅が広いほど、作品の上に影が落ちます。 3ミリというのは、その影をできるだけ細くするための寸法です。
「素」では、アクリルとのかかりの段差が3ミリ。 そして、シンプルな「素」に細やかな装飾として入れている段差も、3ミリです。

同じ3ミリが、役割を変えながら繰り返されています。
3ミリという数字そのものより、 その3ミリに理由があるかどうかのほうが、たぶん大事なことだと思っています。
無垢の木だから、木の言うことを聞く
建築と違うところもあります。
久米装枠舎の額縁は、すべて無垢の木からつくっています。 木には反りがあり、節があり、木目の流れがあります。 季節によって伸びたり縮んだりもします。 額縁は小さいので、その動きの影響が相対的に大きく出ます。

ですから、設計の途中で木の側に合わせて考え直すことがあります。 この木目ならここで切ったほうがいい。この節は見せたほうがいい。 この向きだと、この先反るかもしれない。 図面の上だけでは決まりません。
考えることの多さでいえば、建築のほうがずっと多いと思います。 部材と部材の取り合いをはじめ、関わるものの数が違います。 ただ額縁には、木そのものの性質という、建築ではあまり前に出てこない声があります。 スケールが小さいぶん、その声が大きく聞こえるのだと思います。
住宅の設計では、土地や風や光、周りの建物との関係を考えます。 そこに物体をひとつ存在させることは、周りにも影響を与えることですから、 慎重に、責任を持って考えるべきものだと思っています。 額縁も、小さいながら同じことだと思うのです。
これまでにつくった額縁から
イラストレーター カシワイさん|重ね絵のための額縁
額縁の中で、三枚の絵が重ねられています。 手前から奥へ、少しずつ違う奥行きに置かれていて、 正面からは見えず、角度を変えたときにはじめて現れる絵もあります。
奥に置いた絵が暗く沈んでしまわないよう、 額縁の上面に穴を開けて、光を取り入れる窓をつくりました。 建築でいえば、天窓です。額縁に天窓をあけたことになります。

写真家 長田果純さん|湿板写真のための額縁
湿板写真は1850年頃に生まれた技法で、ガラス板に直接感光させます。 複製ができないうえに、感光していない部分は元のガラスのまま透けています。
長田さんのアイデアで、その「透ける」を活かしました。 鑑賞者に近い側に湿板写真を、その背面にもう一枚を置く、二層の構造です。 平面に奥行きが生まれ、見る角度によって違う世界が現れます。 木はあえて荒いテクスチャを残し、保護として蜜蝋ワックスを塗っています。

はじめかた
作品の寸法が決まっていなくても、飾る場所が決まっていなくても構いません。 まずはお話を聞かせていただくところから始められたらと思います。
額装のシミュレーションでは、サイズや樹種、デザインの組み合わせを画面の上で試すことができます。 木の種類とデザインの詳しいご紹介は、額の種類についてをご覧ください。
作品に合わせた額装について、どうぞお気軽にご相談ください。


