展示や所蔵を見据えた額装には、見た目とは別に、作品を傷めないための考え方があります。保存額装、あるいはアーカイバル・フレーミングと呼ばれるものです。要点は4つあります。
ひとつめは、光です。前面のアクリルを紫外線カットのものにすると、紫外線の大部分を遮ることができます。ただし紫外線を止めても、作品は目に見える光でも褪せていきます。米国議会図書館も、紫外線は日光のうち最も有害な部分だが、紙を傷めるのは紫外線だけではない、と述べています。美術館では技法ごとに一年間の累積照度の上限を決め、展示する日数そのものを制限しています。
ふたつめは、作品に接する紙です。マットや裏板が酸を含んでいると、その酸が作品に移り、黄ばみや脆さの原因になります。中性紙のマットで作品を挟むこと。そして作品と裏板のあいだにもう一枚、中性紙の板を入れて隔てること。見た目には表れませんが、保存でいちばん効くのはここです。
みっつめは、留め方です。作品を裏板に貼りつけてしまうと、あとから外せません。上の辺だけを水に溶ける糊のテープで留める方法が一般的です。あとから元に戻せることを、保存の世界では大切にしています。
よっつめは、置かれる環境です。美術館の展示室は、おおむね24℃前後、湿度50%前後に保たれています。直射日光の当たる壁、冷暖房の吹き出し口の近く、湿気のこもる場所は避けていただくのがよいと思います。
久米装枠舎の額縁は、裏板を回転式の留め具で開けられるようにしていますので、マットや作品の入れ替えはあとからでも行えます。マットは付属しておりませんので、展示や所蔵を前提とされる場合は、中性紙のマットをご用意ください。作品に合わせた仕様は、ご相談いただければご一緒に考えます。